就職活動をしていると、「優良企業」という言葉をよく目にすると思います。
しかし、その定義は人によってまったく異なります。
売上が大きい会社、知名度のある会社、給料や福利厚生が充実している会社。
これらは確かに魅力的な要素ですし、判断材料の一つであることは間違いありません。
ただし、それだけで「自分にとって良い会社かどうか」は判断できません。
なぜなら、企業選びは条件比較ではなく、価値観の選択だからです。
どんな考え方のもとで仕事をするのか。
どんな人たちと日々向き合うのか。
どんな形で社会と関わっていきたいのか。
まずは「優良企業とは何か」を、他人の評価ではなく、自分の言葉で考えてみてください。
講演では、経営者としての立場から、私なりの「優良企業の共通点」をお話ししました。
それは、次の3つに集約されます。
事業が安定して継続できる基盤を持っていること
社会や顧客から本当に必要とされていること
社員が安心して成長できる環境があること
ここで大切なのは、一時的な業績や派手さではなく、長期的な視点です。
就職はゴールではなく、スタートです。
10年、20年と働く可能性がある場所だからこそ、
「この会社は続いていくのか」という視点を持ってほしいと思います。
企業の安定性というと、売上規模に目が行きがちです。
しかし、本当に見るべきなのは「中身」です。
特定の分野に依存しすぎていないか
市場環境が大きく変わったときに対応できるか
社会課題と向き合う事業をしているか
こうした点は、企業の事業内容や沿革、社長メッセージから読み取ることができます。
数字の大きさよりも、事業が社会に根付いているかどうかを意識してみてください。
優良企業かどうかを判断する上で、私は「誰から支持されているか」を重視しています。
お客様から選ばれ続けているか。
取引先と長期的な関係を築いているか。
社会にとって必要な存在であり続けているか。
こうした企業は、簡単には揺らぎません。
企業のホームページを見るときも、「何を売っているか」だけでなく、
「どんな価値を提供しているか」に注目してみてください。
就職活動では、企業が発信している情報をたくさん目にします。
その際にぜひ意識してほしいのが、情報の"伝え方"です。
言葉がきれいに整っているかどうかではなく、そこに誠実さがあるかどうか。
例えば、
理念が抽象的な言葉だけで終わっていないか
社員紹介が本音で語られているか
良いことばかりを書いていないか
企業の姿勢は、こうした細部に表れます。
学生の皆さんは「選ばれる側」だと思いがちですが、同時に「企業を選ぶ側」でもあります。
遠慮せず、しっかり見極めてください。
私たち光アルファクスは、半導体・電子部品・マテリアル分野を扱う技術商社です。
専門性の高い分野ではありますが、当社で活躍している社員の多くは文系出身です。
理由は明確です。
商社の仕事は、技術と人をつなぐ仕事だからです。
お客様の話を聞き、課題を理解し、社内外の人と連携しながら最適な答えを探す。
このプロセスに必要なのは、知識以上に「向き合う力」です。
「専門知識がないから不安」という声はよく聞きます。
しかし、知識は入社後にいくらでも身につけられます。
当社では研修やOJTを通じて、基礎から段階的に学べる環境を整えています。
最初から完璧である必要はありません。
大切なのは、学ぶ姿勢と誠実さです。
最後に、学生の皆さんへお伝えしたいことがあります。
就職活動は、会社を選ぶ時間であると同時に、自分を知る時間です。
どんな働き方をしたいのか。
どんな価値観を大切にしたいのか。
何を軸に人生を築いていきたいのか。
その答えは、人それぞれ違っていて構いません。
だからこそ、「有名だから」「安定していそうだから」ではなく、
自分の軸で企業を見ることを大切にしてください。
このブログが、皆さんの就職活動を考える上で、少しでもヒントになれば幸いです。