産業用SSDとHDDの違いと選定のポイント
- 半導体・電子部品
産業機器や各種システムに欠かせない産業用ストレージですが、「HDDとSSDのどちらを選ぶべきか迷う」という声をよく聞きます。本記事では、産業用ストレージの基本的な選定ポイントや、HDDとSSDの違いについてわかりやすく解説します。
ストレージ選びは“適材適所”が重要です
産業機器やシステムに使われるストレージは、HDD(ハードディスクドライブ)とSSD(ソリッドステートドライブ)の2種類が代表的です。2種類にはそれぞれに特徴があり、性能や価格、耐久性が異なるため、「どちらが良いか」ではなく「用途や環境に応じて適切に選定することが重要」です。
昨今、AI技術の進歩やDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速により、大量のデータを効率よく保存するニーズが高まっています。そのため、大容量のデータ保存に強みを持つHDDが再び注目されています。
弊社では、産業用SSDとHDDの双方を取り扱っており、お客様の用途や環境に応じて最適な製品を提案可能です。
HDDとSSDの違いを知り、最適なストレージを選ぶ
| 特徴 | HDD | SSD |
| 記憶方式 | 磁気ディスクにデータを記録 | フラッシュメモリにデータを記録 |
| 読み書き速度 | 中程度 | 高速 |
| 耐衝撃性 | 可動部品があるため、衝撃や振動に弱い | 可動部品が無いため、振動や衝撃に強い |
| 寿命 | 最大5年(使用環境による) | 最大5年(使用環境による) |
| 価格(容量単価) | 安価 | 大容量になると高価 |
| 消費電力・発熱 | 高い | 低消費電力・発熱も少なめ |
HDDは「低コストで保存」したい場合に適しており、SSDは「高速処理」や「環境耐性」が求められる場合に向いています。用途によって選定基準が異なるため、製品選びは慎重に行う必要があります。
産業用SSDには“高耐久・長寿命”が求められる
一般的な民生用SSDとは異なり、産業用SSDは過酷な環境下でも安定して稼働する必要があります。
そのため、耐久性や信頼性を示す指標として、TBW(Total Bytes Written)やMTBF(Mean Time Between Failures)といった用語が使われます。
- TBWは、SSDの容量とは別に、寿命に達するまでにSSDにどれだけの書き込みができるかを表した耐久性を示す指標です。
- MTBFは、ストレージが故障せずに正常に稼働するまでの平均稼働時間を表した信頼性を示す指標です。
産業用SSDはこれらの数値が高く設定されており、過酷な使用条件でも長期間の安定運用が可能です。
データセンターで見直されるHDDの役割と可能性
AI・IoT・DXの進展に伴い、年々データ量は増加しており、それに比例してデータセンターでのストレージ需要も拡大を続けています。なかでも、大容量・高信頼性・低消費電力といった特長を持つHDDは、注目が高まっています。
HDDは、大容量データの長期保存に適しており、容量単価の低さが最大の強みです。
一方で、AI推論やリアルタイム処理など、頻繁にアクセスされる用途には、高速なSSDが用いられています。
用途に応じたストレージの使い分けは、効率的なシステム運用に欠かせません。
近年では、 最大24TB以上の3.5インチHDD が登場しており、RAID構成や24時間365日の連続稼働にも対応可能な設計となっています。また、振動衝撃対策もおこなっています。
さらに、設置スペースや電力・冷却コスト、保守負担などを含めたTCO(総保有コスト)の最適化の観点でも、HDDは依然として有力な選択肢です。今後も、コスト効率と拡張性を兼ね備えたストレージとして、HDDは重要な役割を担い続けるでしょう。
用途別に見る産業用ストレージ選定のポイント
| 大容量データ保存 | 高速な読み書き処理 | 振動・衝撃が多い過酷な環境 |
| 推奨ストレージ:HDD | 推奨ストレージ:SSD | 推奨ストレージ:産業用SSD |
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| 容量単価が安く、コスト効率が良い | 高速なアクセス性能が求められる | 可動部品がないため、耐衝撃性に優れる |
| 長時間連続稼働が必要 | コスト重視で容量確保 | ||
| 推奨ストレージ:Enterprise HDD | 推奨ストレージ:Client HDD | ||
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| 信頼性と耐久性で普通のHDDより優れている | コストパフォーマンスが高い |
選定の際は、「何を重視するか」を明確にすることがポイントです。
性能だけでなく、設置環境や供給期間、保守体制まで含めたトータルでの検討が必要です。
HDDとSSDは「どちらか」ではなく「どう使い分けるか」
HDDとSSDはそれぞれに特徴と役割があり、「どちらかが優れている」というわけではありません。
むしろ、用途や環境に応じて最適に使い分けることが重要です。
特に産業用SSDでは、高信頼性・長期供給・耐環境性などが重視されるため、民生用とは異なる観点での製品選定が求められます。
当社では、産業用のHDD・SSDともに豊富に取り扱っており、お客様のニーズや設置環境に応じた最適なご提案が可能です。
ストレージ選定でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。






