電子デバイス部門
産業用機器の高効率化、高電力密度化に貢献する650V耐圧第3世代SiC MOSFETのTOLLパッケージ製品発売
表面実装 (TOLL) パッケージを採用:機器の小型化、実装工程の自動化が可能。低スイッチング損失。
第3世代SiC MOSFET採用:
- ドリフト抵抗とチャネル抵抗比の最適化による、ドレイン・ソース間オン抵抗の良好な温度依存性
- ドレイン・ソース間オン抵抗×ゲート・ドレイン間電荷量が低い。
- 順方向電圧 (ダイオード) が低い: VDSF=-1.35V (typ.) (VGS=-5V)

特長
スイッチング電源や太陽光発電用インバーターなどの産業用機器向けに、東芝デバイス&ストレージ社の最新[注1]第3世代シリコンカーバイド(SiC)MOSFETチップを面実装のTOLLパッケージに搭載した、650V耐圧の3製品「TW027U65C」、「TW048U65C」、「TW083U65C」を製品化しました。現在量産出荷を開始しております。
新製品は、汎用的な表面実装パッケージのTOLLを採用した第3世代SiC MOSFETです。
従来のリード挿入型パッケージ (TO-247、TO-247-4L(X)) と比較して、体積を80%以上削減しており、機器の電力密度の向上に貢献します。
さらに、リード挿入型パッケージと比べて寄生インピーダンス[注2]が小さく、スイッチング損失の低減に寄与します。加えて、4端子タイプ[注3] であるため、ゲートドライブ用信号ソース端子をケルビン接続することで、パッケージ内部にあるソースワイヤのインダクタンスによるスイッチングへの影響を小さくでき、高速スイッチング性能を実現します。
これにより、例えばTW048U65Cでは、東芝デバイス&ストレージ社の既存製品[注4]と比較してターンオン損失を約55%、ターンオフ損失を約25%低減[注5]でき、機器の電力損失の低減に貢献します。
今後も機器の電力の高効率化と大容量化に貢献する製品ラインアップを拡充していきます。
第3世代SiC MOSFETのパッケージラインアップ
タイプ | パッケージ名 |
リード挿入タイプ | TO-247 |
TO-247-4L(X) | |
表面実装対応 | DFN8×8 |
TOLL |


図1. TO-247とTOLLパッケージのターンオン損失 (Eon)、ターンオフ損失 (Eoff) 比較
測定条件: VDD=400V、VGS=18V/0V、ID=20A、Ta=25°C、L=100μH、外部ゲート抵抗Rg=4.7Ω、
還流ダイオードは各製品のソースドレイン間のダイオードを使用 (2025年8月、東芝デバイス&ストレージ株式会社比)
[注1] 2025年8月現在。
[注2] 抵抗、インダクタンスなど。
[注3] FETチップに近い位置に信号用のソース端子が接続されている製品。
[注4] 650V第3世代SiC MOSFETで耐圧、オン抵抗が同等で、TO-247パッケージのケルビン接続非対応製品。
[注5] 2025年8月現在、東芝デバイス&ストレージ社実測値。図1参照。
応用機器
- スイッチング電源 (データセンターなどのサーバー、通信機器など)
- EV充電スタンド
- 太陽光発電用インバーター
- 無停電電源装置 (UPS)
新製品の主な仕様
(特に指定のない限り、Ta=25°C)
品番 | TW027U65C | TW048U65C | TW083U65C | |||
パッケージ | 名称 | TOLL | ||||
サイズ(mm) | Typ. | 9.9×11.68×2.3 | ||||
絶対最大定格 | ドレイン・ソース間電圧 V DSS(V) | 650 | ||||
ゲート・ソース間電圧 VGSS(V) | -10~25 | |||||
ドレイン電流(DC)ID(A) | Tc=25°C | 57 | 39 | 28 | ||
電気的特性 | ドレイン・ソース間オン抵抗 RDS(ON)(mΩ) | VGS=18V | Typ. | 27 | 48 | 83 |
---|---|---|---|---|---|---|
ゲートしきい値電圧 Vth(V) | VDS=10V | 3.0~5.0 | ||||
ゲート入力電荷量 Qg(nC) | VGS=18V | Typ. | 65 | 41 | 28 | |
ゲート・ドレイン間電荷量 Qgd(nC) | VGS=18V | Typ. | 10 | 6.2 | 3.9 | |
入力容量 Ciss(pF) | VDS=400V | Typ. | 2288 | 1362 | 873 | |
順方向電圧(ダイオード)VDSF(V) | VGS=-5V | Typ. | -1.35 |