シリコーン雑学第2回(電気・電子分野編)
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現代の電気・電子機器は、私たちの生活に不可欠な存在となっています。スマートフォン、LED照明、自動車の電子部品…これら数多くの製品の心臓部を支えているのが、実は「シリコーン」です。優れた絶縁性、透明性、耐久性、そして放熱性といった多様な特性を併せ持つシリコーンは、その高い機能性から、電気・電子分野において幅広く活用されています。
本記事では、メーカーの皆様向けに、シリコーンが電気・電子分野でどのように貢献しているのか、具体的な役割を詳細に解説します。
絶縁性と撥水性を活かした、信頼性の高い保護
シリコーンゴム、特にジメチルシリコーンゴムは、その優れた絶縁性と撥水性から、電気・電子部品の保護に広く用いられています。
シリコーンの高い撥水性は、湿気や汚れによる電気部品の劣化を防ぎ、製品の長期的な信頼性と安定稼働に貢献します。
用途 | 使用されるシリコーンの種類 | 具体的な役割 |
電線被覆 | ミラブル型ジメチルシリコーンゴム |
電線を外部環境から保護し、回路の安定性を維持する。 |
スパークプラグブーツ | 高電圧下でも安定した絶縁性能を発揮し、漏電を防ぐ。 | |
送電線の碍子 | 高い耐候性と絶縁性で、電力供給の安定性を支える。 |
ウレタンフォームの種類と用途高精細・高耐久ディスプレイを実現するキーマテリアル
液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイにおいても、シリコーンは重要な役割を担っています。
シリコーンの透明性と柔軟性は、ディスプレイの高画質化、薄型化、そして耐久性向上に不可欠です。
用途 | 使用されるシリコーンの種類 | 具体的な役割 |
オプティカルボンディング剤 | 液状シリコーンゴム | 液晶パネルと保護カバースクリーンの接着剤として使用。 |
光拡散材 | シリコーンパウダー | 光拡散板に配合され、光の均一な拡散を促す。 |
基板の保護と冷却効率の向上による製品寿命の延長
電子機器の心臓部である基板においても、シリコーンは信頼性と効率性を高めるために多用されています。これらのシリコーン素材は、電子機器の長寿命化と安定動作に大きく貢献します。
用途 | 使用されるシリコーンの種類 | 具体的な役割 |
放熱グリース | 放熱フィラー +高粘度ジメチルシリコーンオイル |
半導体素子と放熱シンク間の熱伝導を促進する。 |
コンフォーマルコーティング | メチル系シリコーンレジン | 基板を湿気や塵から保護する。 |
高効率・長寿命LED照明を実現する技術
LED素子の保護、光を制御するレンズにシリコーンレジンが使用されます。またエネルギー効率の高いLED照明においても、発熱対策が重要な課題であり、耐熱性・熱伝導性に優れたシリコーン系の放熱材料が使用されています。
用途 | 使用されるシリコーンの種類 | 具体的な役割 |
LED素子の封止材料 | メチル・フェニル系シリコーンレジン | LED素子を外部環境から保護する。 |
レンズ材料 | フェニル系シリコーンレジン | 光の制御を最適化し、効率的な集光を実現する。 |
放熱材料 | 放熱フィラー+液状シリコーンゴム | LEDの発熱を効率的に放熱する。 |

半導体封止材におけるシリコーンの役割:信頼性と耐熱性の向上
半導体素子の製造工程においても、シリコーンは封止材の性能向上に貢献しています。
シリコーンの添加により、半導体の信頼性と耐熱性が飛躍的に向上します。
用途 | 使用されるシリコーンの種類 | 具体的な役割 |
エポキシ封止材料の応力緩和剤 | 変性シリコーンオイル (エポキシ・ポリエーテル変性など) |
成型時やはんだリフロー時の応力を軽減する。 |
フィラーの表面処理剤 | シランカップリング剤 | シリカフィラーと樹脂の密着性を高める。 |


まとめ:シリコーンの可能性は無限大
本記事で紹介したように、シリコーンは絶縁性、透明性、放熱性、耐久性といった多様な特性を活かし、電気・電子分野で幅広く、そして重要な役割を担っています。電線被覆からディスプレイ、LED照明、半導体まで、私たちの生活を支える多くの製品に欠かせない素材と言えるでしょう。
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