シリコーン雑学第6回(塗料・コーティング編)
- 化学・材料
- マテリアル研究開発室
塗料やコーティング材の性能向上において、シリコーンは非常に重要な役割を果たしています。耐候性や防汚性の付与から、塗装作業時の不具合防止、表面テクスチャーのコントロールまで、用途に応じた多彩なアプローチが可能です。
本記事では、塗料・コーティング分野におけるシリコーンの主な活用方法として「ベース樹脂のシリコーン変性」と「塗料添加剤としての機能」を詳しく解説します。
ベース樹脂のシリコーン変性(シリコーン骨格の組み込み)
塗料のベース樹脂をシリコーン変性することで、耐候性や防汚性などを向上させることができます。この技術は、過酷な環境に晒される船舶の船底塗料や、橋梁などの構造物の塗装に広く採用されています。
変性手法と注意点
- 変性手法の例
エポキシ系塗料に対し、アミノ系シランカップリング剤を架橋剤として使用し、メチル系・フェニル系のシリコーンレジンを変性させることができます。 - 注意点
あらかじめシランカップリング剤とシリコーンレジンを反応させて官能基を導入した変性シリコーンレジンも存在します。ただし、これらは「化審法(化学物質審査規制法)」の登録がない場合があるため、ご使用の際は事前の法規確認が必要です。
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塗料添加剤としての活用(塗装性・テクスチャーの改良)
少量のシリコーンを添加剤として加えることで、塗装面の平滑性や質感をコントロールし、塗膜の欠陥を防止することができます。

①濡れ剤(ウェッティング剤)
特徴・機能:非常に低分子量の「ポリエーテル変性シリコーン」を使用します。
効果:塗料の基材に対する濡れ性を向上させ、塗装時の「ハジキ(弾き)」を低減します。

②レベリング剤
特徴・機能:比較的変性量の多い「ポリエーテル変性シリコーン」を使用します。
効果:塗膜の平滑性(レベリング性)を向上させ、表面が凹凸になる「ゆず肌」などの不具合を防止します。

③滑り性付与剤(スリッピング剤)
特徴・機能:シリコーン主鎖が大きな「ポリエーテル変性シリコーン」を使用します。
効果:シリコーン鎖が塗膜表面へ配向することで摩擦を低減し、滑り性を向上させます。また、シリコーン本来の特性により、同時に「撥水性」や「防汚性」も付与されます。
④消泡剤
特徴・機能:非常に変性量の少ない「ポリエーテル変性シリコーン」を使用します。
効果:ポリシロキサンが持つ低表面張力により消泡剤として作用し、塗膜の「ピンホール」や「フィッシュアイ」といった気泡由来の欠陥を抑制します。
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ポリエーテル変性シリコーンの構造と性能の関係
ポリエーテル変性シリコーンは、「シリコーンの鎖長(分子量)」と「変性量」の組み合わせによって、以下のように発揮する主性能(レベリング性・滑り性・濡れ性・消泡性)が変化します。
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⑤その他のテクスチャー・意匠性付与
・ハンマートーン調(模様形成)
分子量の大きな「ジメチルシリコーン」を添加することで、あえて塗膜表面で局所的なハジキを生じさせ、ハンマーで叩いたようなハンマートーン調の独特な意匠模様を形成します。
・マット調(艶消し感)
「シリコーンパウダー」を添加することで、塗膜表面に微細な凹凸を形成し、光を拡散させてマット調の艶消し感のある塗装面を形成させることができます。
まとめ
塗料・コーティング分野において、シリコーンは耐候性や防汚性といった塗膜の保護性能を高めるだけでなく、塗装時の不具合防止や独特な質感の表現まで、実に幅広い役割を果たしています。
使用するシリコーンの分子量や変性量によって得られる効果は大きく変化するため、目的に応じた適切な材料選定と、化審法などの法規面の確認が重要です。
当社では、ベース樹脂の変性から機能性添加剤のご提案まで、お客様の製品開発や課題解決を幅広くサポートいたします。
塗料・コーティングの機能向上や不具合改善をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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